犬猫の心臓病についてcirculation
担当獣医師 田丸精治
多くの方にとって、心臓病というと怖い病気のイメージがまず来ることでしょう。
健診などで心臓病が見つかったとき、ショックを受けてしまう飼い主様もいらっしゃいます。
確かに心臓病は悪化すると呼吸が苦しくなり、突然亡くなることもあるため、とても怖い病気だと言えます。
ですが、心臓病を早期に発見し、検査と適切な治療を行うことで、健康な時間を延ばすことができます。
(治療には適切なタイミングがありますので、あまりにも早くから治療を行うことは推奨されていません。)
獣医療は年々進歩しており、治療できる幅も徐々に広がってきています。
近年では心臓外科手術も選択肢に入るようになっています。
心臓外科手術についての詳しいご説明と心臓外科専門施設へのご紹介も行っていますので、ご興味のある方はご相談ください。
心臓病が気になる方や検査をお考えの方は、事前にお電話または受付にてご予約ください。
その際当院のホームーページをご覧になったとお伝えください。
通常はお昼に検査を行いますので、11:00~12:00頃に一度診察をしてからお預かりし、15:00~17:00の間にご説明とお迎えになります。
お預かりが難しい場合はご相談ください。
心臓病の診察
1. 問診
まずは主な症状や気になる点など詳しくお話をお聞きし、必要な検査をご提案いたします。
こんな症状があったら心臓病かも・・・
・咳が多い
・安静にしているのに呼吸が早く、「はあはあ」言っている
・急に倒れる、失神する
・妊娠や肥満ではないのに急にお腹が大きくなった
・胸を触ったときに心臓の鼓動を今までより強く感じる
・散歩に行ってもすぐにへたり込むようになった。
・子犬・子猫で成長があきらかに遅い(兄弟と比べて明らかに小さい)
2. 検査
その症状が心臓病からくるものなのか、また心臓病であればどんな病気なのか調べます。
・聴診
心拍数の測定や心雑音の有無の確認を行います。
犬で最も多い僧帽弁閉鎖不全症という心臓病は、聴診だけで分かることもあるため、健康診断などの際に病気を発見することが多々あります。
猫で最も多い心筋症という心臓病は、聴診だけではわからないことが多く、通常はエコー検査などにより診断します。
・心エコー検査
心臓の構造と動きを調べることができます。
心臓病の診断と、重症度の評価にとても有用な検査です。
クッションに横になってもらって行うことが多いですが、麻酔をかけることはありません。
・X線検査
心臓の全体的な大きさがわかるほか、気管や肺なども観察することができます。
心臓病が悪化すると胸に水がたまったり(胸水)、肺胞内に水が出てきたり(肺水腫)するため、これらも確認することができます。
・心電図検査
心臓の電気信号を確認する検査で、不整脈の診断に欠かせません。
通常の心電図検査は数分間の心電図データをもとに診断しますが、これでは常に不整脈が起こっていないと診断できません。
中には一日に数回の発作(失神など)が起こったときにのみ心電図に異常が出るものも多いため、この場合当院では24時間以上持続して計測できる装着型の心電図(ホルター心電図)による検査を行います。
・血圧
人と違って動物では測定が難しいことも多い検査ですが、心臓病により高血圧になったり、逆に高血圧により心臓病が悪化したりすることもあるため重要です。
・血液検査
心臓にかかっている負担などを客観的な数字で評価することができます。
特に重症度の診断に有用です。また、心臓以外の病気を調べることもあります。
特に腎臓病の有無は薬の種類を決める際に重要です。
3. 診断
行った検査を基に心臓病の診断を行います。
心臓病の詳しい種類や重症度などを評価し、飼い主様に詳しくご説明します。
4.治療
どんな心臓病か診断がついたら治療プランをご提案します。
心臓病は一生付き合っていかなければならないものが多いため、通常は定期的な検査と治療を繰り返し行っていきます。
当院では詳しい検査と説明を行い、その子にあった治療プランを提案し、飼い主様としっかりご相談を行いながら、治療を続けていきます。
また心臓病の種類によっては外科手術が選択肢として入ることもあります。
できる病院がとても少ないという点や費用面においてまだまだハードルが高い治療ですが、ご興味のある方はご相談ください。